白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「緊張してる?」
「だ、大丈夫です」
「心配するな。約束したろ? 『もう一度、次は夫婦としてふたばと訪れたい。ふたばをここで抱きたい』って……正式に結婚して、パリに行くまで、最後まではしないよ」
(そう言えばそんなこと言っていたような……)
一度決めた覚悟がなんだか宙ぶらりんになって、私は複雑な気分になる。
しかし、琥白さんはそのまま私の服をたくし上げ、お腹にも口づけ始めた。
そんなことされれば、いやでも変な気分になる。
「病み上がりだし、今日は軽く触れるだけにする」
「んんっ……! ちょ、なんでぇっ」
(これ、軽くなんですか!)
「ふたばに触れるのまでは我慢できないから。それに、パリに行くまでうんと慣らしておきたいし」
「どういう、んんっ……意味っ! ぁっ、ですかっ!」
琥白さんの手が身体中を這いまわる。
私の弱いところも気持ちいいところも、全部わかっているように。
「もっと教えて? ふたばの好きなところ」
「そんな、のっ! あ、んんっ! しりませんっ!」
「ここ?」
「だ、だめっ……! あっ、ぁ……!」
「その反応、堪らないな」
琥白さんのギラギラした男の目と目が合うと、身体が一気に熱くなる。お腹の奥がキュンと音を立てる。
結局その日、病み上がりだから、とか言ってたくせに、何度も何度も高みに押し上げられて、気付いたらまた私は眠っていた。
ーーーでも、その日から悪い夢は見なくなっていた。