白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
それから愛華さんは、にやりと笑うと、
「それより」
と言って続けた。「私、一足先に卒業したわよ。処女」
「ふぇっ⁉」
(突然! どういうこと⁉)
私が愛華さんを凝視すると、愛華さんは、ふふ、と妖艶に笑った。
「婚約者の10歳年上のね、麻山さん。おじさんなんてって思ってたけど、会ってみたらすっごくかっこよくて一目惚れしてね。それで勢いで……! そしたら余計に嵌っちゃって。大人の色気とテクニックってすごいわよねぇ」
愛華さんはそう言って、何を思い出したのか赤くなって微笑む。
(会話が大人だ……)
そう思うけど、今の私はそれが……非常にうらやましい。
「……う」
「こうなって振り返ってみたら、なんか琥白のこと好きだった私って、なんていうか恋に恋してたって言うか……そんな気がした」
「そんなものですか?」
「そうよ。私、今、本当に幸せだし」
そう言って微笑んだ愛華さんの笑顔は、本当にきれいで……。
「よかった」
「ふたばも入籍したってことは、覚悟決めてしたんでしょ? どうだった?」
愛華さんは身を乗り出すようにして聞いてくる。
私はその言葉に、琥白さんとのことを思い出す。
そして下を向くと、そのまま首を横に振った。
「いえ……まだしてません」
「えぇっ!」