白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
ぼろ、と涙がこぼれて、そのままエグエグ泣き始めた私を見て、愛華さんは慌てたようで、
「えぇっ! まだだったの⁉ いや、ちょっと、え、ほら、まだでも、だ、だだだだだ大丈夫よ!」
愛華さんがフォローしてくれるが、あまりの慌てぶりにフォローになっていない。
私は一通り泣き終えると、涙をぬぐいながら、
「琥白さんが、そういうのはハネムーンでって」
「……いつの時代よ」
愛華さんが呆れたように息を吐く。「全く何もしてないの?」
「キスしたり、触られたりは……。でも、毎朝毎晩色んなことされるから……最近私、悶々としてきて……! 実はもう琥白さん見るだけで想像してもう私、完全に変態ですよ……!」
今朝だって、起きてそばにいた琥白さんの色香に、なんていうか、悶々とした。いや、ムラムラした。
「ほぅ」
「そんなことばっかり考えちゃう自分がいやぁ!」
「あはは。ふたば、おもしろい」
私が真剣に悩んでいるというのに、愛華さんは本当に楽しそうに笑っている。
(くそう、先に大人になった余裕か……)
「おもしろくないです!」
私は愛華さんをジトっと見ると、愛華さんはまた楽しそうに笑って、それから、
「ふたばにも手に入れたい未来が、できたのね」
と目を細めた。