白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
息を吸って、ドアを開けると、琥白さんがそこに立っていた。
そして部屋を覗き込むようにされて、少し慌てる。
「ふたばさん。今、誰かと話をしてましたか?」
「いいえ。それより、なんですか。こんな朝から……」
「『また明日』と言ったでしょう」
「そういえば」
(そんなこと言っていたような……)
昨日はそれどころじゃなくて、すっかりそんな言葉忘れていた。
そして私は昨日のことを謝罪することを決める。
「昨日は、本当に驚いてしまって……あんなこと、申し訳ありませんでした。決して琥白さんとのキスが嫌だとかそういうわけではないんです」
私が言い訳するようにいうと、琥白さんはしらじらしい笑みを浮かべた。
「いえ、私がふたばさんが満足するようなキスができなかったのがいけないんです。もっと鍛錬を積みます」
(鍛錬ってなんだよ)
と思ったものの、もしかして浮気でもしてくれる気になったのだろうか、と思って琥白さんを見ると、琥白さんは私の顔を見て苦笑した。