白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

「寝た……?」

 琥白さんの、無防備に眠る子どもみたいな寝顔をついのぞき込んでしまう。
 それを見ていると、ふいに今朝の兄の言葉を思い出した。

『それくらい跡を継ぐのって大変なんだよ。覚えることも、やることも膨大だし、心理的な負担も大きい。特に琥白の会社がうちとはけた違いに大きいし』

「……あなたが起きていない時に騙すのは、今日だけですからね」

 私はそう呟いて、隣で眠る期間限定の婚約者の手をそのまま握っていた。
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