白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
2章:同棲開始
気づいたら自分も寝ていたようで、目が覚めると琥白さんの左手を私の方がぎゅう、と握り締めていた。
「うっひゃあっ!」
寝ボケていたのもあって、場所も相手も考えずに慌てて声を上げてしまう。
すると、琥白さんは、楽しそう目を細めて、
「起きましたか。あと少しで成田空港に着きますよ」と笑った。
その様子になんだか負けた気がしてしまう。
「失礼しました。これじゃ何もできなかったですよね」
「読みたかった本を読んでいたのでお気になさらず」
「でも……」
「役得でした」
琥白さんは微笑んで、またそんなことを言う。
(そんなこと微塵も思ってないくせに……)
と思わず唇を噛みそうになったけど、ニコリと微笑み返しておいた。