白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 私は答えの出ない考えを繰り返しながら、髪と身体を洗って、バスルームから出る。
 リビングに入ったところで、琥白さんに腕を掴まれた。

「っ! な、なんですかっ」

(もう絶対に、琥白さんのペースにはのまれないんだから! キスだってさせない!)

 そう思って琥白さんを睨むと、琥白さんは私の顔を見て苦笑する。


「ほら。髪、濡れたままだろ。きちんと乾かせ」
「触らないで! 別にそんなのどうでもいいから!」

 髪なんて放っておいたら乾く。別に今更、痛んでも構わない。
 そう思ってそう言うと、琥白さんはむっとしたように私の腕を掴んだまま、私をソファまで連れて行き、強制的にソファに座らせた。

「な、なにするんですか……!」

 そのまま、琥白さんはドライヤーを持ってきて、タオルで私の髪を優しく拭くと、ドライヤーで髪を乾かしだす。
 逃げようとした私を掴むと、強制的に私を自分の膝の上に座らせて、左腕で抱え込むようにして動けなくした。

「やめてって!」
「まったく。まるでノラ猫だな」

 琥白さんが苦笑しながら、後ろから髪を乾かす。「ほら。大人しくしてないとやけどするぞ」
「バカ力め……」
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