白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
5章:存在
自分で言うのもなんだけど、私は昔からお兄ちゃん子だった。
毎日忙しい父は帰ってこず、母は私を父に認知してもらって預けた後にいなくなった。
私と兄は広い家の中に二人。家政婦さんはいたけど、夜は不安で仕方なくなる。
まだ幼かった私は、夜になると兄の部屋にもぐりこんだ。
兄はいつでも私のそばにいてくれた。特に寝る前と、起きた時に兄が近くにいることに私は安心した。
あの時の私はそんな兄の存在にどれだけ救われていたか……。