白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
―――次の日の朝。
目が覚めると、ベッドサイドのテーブルで、琥白さんがもうすっかりスーツに着替えてパソコンでなにやら仕事をしている姿が目に飛び込んできた。
私が起き上がって、その姿をぼんやりとみていると、琥白さんは少ししてそれに気づいてこちらを向いた。
目が合うと、ふいに胸がドキリとする。
(おい、心臓。朝からこれは何の誤作動なの……!)
「おはよう、起きたか?」
焦りを誤魔化すように低い声で、
「……どうしてこんなとこで仕事してるんですか」
と問うた。
「別にどこでしたっていいだろ」
琥白さんはそう言うと立ち上がってこちらに近づいてくる。
(なに? なんなの? なんでどんどんこっちに向かってくるのよ!)
目が合うと、キスされる、と咄嗟に思って顔を思わず下に向けた。
「ひっ……!」
だけど、ちゅ、と額に軽いキスの感覚だけがして、私は顔を上げる。
すると琥白さんは楽しそうに笑ってこちらを見ていた。
(おでこ……)
「ほら、早く起きろよ」
ぽんぽん、と二回、頭を軽く叩かれて、微笑まれる。
私は額を手で抑えると、むっとした。それを見た琥白さんがさらに楽しそうに笑う。
「なんだ、朝からかわいい顔してるな。一応我慢したんだけど、やっぱり唇が良かった?」
「ま、まさかっ! そんなわけないでしょ!」
(ただ、あなたなら唇にすると思っただけです!)
とは言えない。