白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
そして会社から離れると、琥白さんの手を振り払って、琥白さんを睨みつけた。
「ああいうの、やめてください!」
「なんでだ」
(なんでそんなこともわかんないのよ! 一応、経営者の息子でしょうが!)
「琥白さんも将来社長になるなら、トップ同士が揉めた過去なんて火種にしかならないのわかりますよね! あんな風に喧嘩売るような発言、琥白さんにはなんの得にもならないんですよ!」
自分がイライラした口調になっているのがわかる。
(琥白さんには関係のないことなのに……)
なのに琥白さんはそのまま不機嫌な顔で、あるだろ、と言い放った。
「ないですよ!」
目を瞑って叫んだ次の瞬間、琥白さんが私の両頬を掴んで自分の方に無理やり向かせる。
(なにすんのよ!)
そう思って睨みつけようとするけど、目があった時、琥白さんの心底怒っている様子に私は怯んだ。
それから琥白さんは、深い息を吐いて口を開く。
「ふたばがあんな顔して過ごす時間が減るんだったら、誰が相手でも、遠慮なんてせずに言うに決まってるだろ」