白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
6章:気付き
昔の琥白さんは意地悪だった。
琥白さんは昔の事なんて覚えていないだろうけど、当時、小学生だった私は兄とは全然違う琥白さんが苦手で、少し怖かった。
いや、今だって苦手なんだけど。
(なのに私はなんで、今、この人の胸の中で泣いているんだろう……)
ふと我に返ると、おかしな状況だし、やけに恥ずかしい。
なんて言おう、なんて言えばいいんだ。
そんなことを思っていると、琥白さんは、
「そういえばふたばって、昔泣き虫でさ、泣きながらピアノの練習をしてたよな」
と私同様、昔を思い出したように言った。
「なっ……! なんでそんなこと覚えてるんですか」
(覚えているにしても、もっとまともなこと覚えていてよ!)
琥白さんは昔の事なんて覚えていないだろうけど、当時、小学生だった私は兄とは全然違う琥白さんが苦手で、少し怖かった。
いや、今だって苦手なんだけど。
(なのに私はなんで、今、この人の胸の中で泣いているんだろう……)
ふと我に返ると、おかしな状況だし、やけに恥ずかしい。
なんて言おう、なんて言えばいいんだ。
そんなことを思っていると、琥白さんは、
「そういえばふたばって、昔泣き虫でさ、泣きながらピアノの練習をしてたよな」
と私同様、昔を思い出したように言った。
「なっ……! なんでそんなこと覚えてるんですか」
(覚えているにしても、もっとまともなこと覚えていてよ!)