白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
神尾さんは続ける。
「ふたばさんなら事業を継ぐ大変さもご存知のことかと思っておりましたが……」
そう言いかけて、慌てたように、「失礼しました」と神尾さんは頭を下げた。
「いえ……」
兄の時だって、今も……私は何もできていない。
そう思って落ち込んだ時、神尾さんはそんな私の様子を察したのか、微笑む。
「琥白さんは誰にも物腰も柔らかいし敵を作らないようにしていますけど、最近は……本当に楽しそうな表情をされています。だから……ありがとうございます」
私は口を開いていた。
「あの……神尾さん」
「はい」
こんなこと聞くなんてばからしい。
でも聞かずにいられなかった。
「琥白さんの……好きな食べ物とか、知ってますか?」
それを聞いた私を神尾さんは少し驚いた顔で見た後、「もちろん」と微笑んだ。