白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「お、おかえりなさい」
「ただいま。今朝はすまなかったな」
「そんなの全然……。それより、あの……琥白さん……」
「なに?」
琥白さんは首を傾げる。
私は「ううん」とかぶりをふって、いや、それじゃいけないともう一度思い直すと息を吸った。
「今日ね、帰り道で見かけて、私が! 食べたくて食べたいものを買ったんです。一緒に食べませんか?」
と目を瞑って叫ぶ。
自分でもなんでこんなに緊張しているのか分からなかった。
「……なんでそんな力入ってるんだ。もちろんいいけど。なに……?」
少し訝し気な琥白さんに、手の中の紙袋から小さな箱を取り出し、
「あの……どっちの味がいいですか? こっちはシンプルなので、こっちは期間限定のイチゴ」
その中からプリンを二つ取り出した。
それを見て琥白さんが少し驚いた顔をしたので、私は思わずニヤリと微笑んでしまった。