白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「俺が触れたいのも、触れられたいのもふたばだけだって知ってほしかった」
琥白さんの手つきは、優しくて、でも少し強引で。
それに翻弄された。絆された。そして少しだけど……琥白さんの気持ちも分かってしまった。
そんなことを考える私を見て、琥白さんは真剣な顔になると続ける。
「ふたばは、他の男にあんなことさせられるのか? 無理だろ」
「ちょっ、なんで勝手に決めつけるんですか!」
(やっぱりこの人、自信過剰過ぎない⁉)
そうは思うが、それが事実でもあるから余計にたちが悪い。
琥白さんはそっと私の両手を取った。
「だからさ、いくら婚約破棄したいからって、ふたば以外の女性に触れられるのは、俺だって嫌なんだ。……わかるか?」
その言葉に、それが本心だと分かってしまってなぜか泣きそうになる。すると、琥白さんは優しい声で、「責めてるわけじゃないよ、ただ、分かって欲しい」と付け加えた。
私は視線を下にずらすと、
「……男の人は、別に誰が相手でもいいんじゃないの?」
と小さな声で呟く。
少なくとも、私の父はそうだった。