白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「そういうやつも中にはいるかもしれないけど……俺は自分が愛している女性以外触れるのも触れられるのも無理だ。それに前も言ったけど、一生ふたば以外とキスもセックスもするつもりない」
迷いもない、はっきりした口調に私は口ごもる。
そんなこと言われても……。
「ふたば?」
「なんでその相手が私なの……」
琥白さんと私は、私が小さな頃は兄を通した知り合いだったけど……そのあとずっと本当に顔すら会わせていなかったはずだ。
なのに琥白さんは、あっさりと、
「久しぶりにふたばに会って、好きだって思ったんだ。それから会うたびもっと好きになった。嵌った。誰かを好きになる時に、いちいち理由なんているか?」
と心底不思議そうに聞いた。
「だって……どう考えてもおかしいです」
(琥白さんが私を好きになる理由なんてない)
だから余計に信じられないし……信じたくない。
琥白さんは少し考えた後、ふっと笑って口を開いた。
「わかった。疑いたいなら好きなだけ疑っていい。その分俺は、ふたばが疑う余地もないくらいに俺の気持ちを知ってもらえるようにするだけだ」
そうあっさり、でもはっきりとした口調で琥白さんが言うから、私は余計にどうしていいのかわからなくなって、下を向いた。