Extra Fight集 〜年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません〜
Extra Fight 2 念願のランチデートの直前 Side加藤
遅い。
遅すぎる。
約束した時間は、もう3分も過ぎている。
それなのに、彼女……高井綾香の姿は、待ち合わせ場所として僕が指定したロビーになかなか現れない。
……何か、あったのだろうか。
仕事に関するトラブルであれば、社用携帯にメールか電話がくるだろう。
実際さっきから、彼女以外のメンバーからは、トラブルの報告が山ほど、うざいくらいひっきりなしにくる。
本当は電源を切ってやりたいが、もし彼女からヘルプ要請があったら、すぐに駆けつけてやりたいので、バイブは鳴らしっぱなしにしている。
が、その彼女からの連絡は、一向にない。
まさか……変な虫でもついているのではないか。
以前彼女に話しかけた、チャラチャラした男どもは、まだいい。
ちょっと脅し仕事を与えてやれば大人しくなるから。
問題は彼女と同期入社の河西という忌々しい男。
あいつは、付き合ってもいないくせに彼女にプロポーズなんてしやがった。
あの頃は、僕も、彼女にただ片想いするだけの男だったから、あいつのプロポーズに嫉妬はしたものの、強引に引き剥がすということはできなかった。
でも。
今はもう、僕が彼女の恋人だ。
僕以外の男が、彼女に近づくなんて、絶対に許さない。
プライベート用のスマホを取り出して、彼女からの連絡がないか確認をする。
こちらにも、まだ来ていない。
彼女は、元々の性格のせいなのかはわからないが、僕への連絡をあまり頻繁に寄越してこない。
特にLINEに至っては、彼女から送ってくることは、ほとんどない。
1度、彼女からの連絡が欲しくてLINEを自分から送ることをしないようにしようとしていた時期もあったが、その後数日間本当にLINEでの彼女との会話がなくなった。
なのでその後、彼女を自宅に拉致し、ベッドの上で彼女を愛しながら、お仕置きをしたのだが、その時に言われたのが
「LINEを見る習慣がなくて」
だった。
というのも、彼女は乙女ゲームという……正直僕としては今すぐ取り上げてしまいたい、二次元の男どもと恋愛を楽しむというスマホゲームにハマっているらしく、僕といない時はたいていそれにのめり込んでいるから、LINEが来てもスルーすることが多い……ということらしかった。
彼氏として、正直いい気がしない。
まるで、二次元の男に負けていると、彼女から言われている気がした。
とはいえ、そのままにしておくわけがなく、僕は彼女に、ベッドの上でいじわるをしながら、ある約束を交わさせた。
僕が連絡をしたら、なんでもいいから返すこと。
まずは、そこから徹底して、彼女をLINEに慣れさせることから始める必要があると判断した。
「ったく……どこにいるんだ……」
僕は、スタンプを押し始める。
1分に1個なので、許容範囲だろう。
前10秒に1個送ったら
「うるさい」
と怒られたので、それからはさすがに自重したのだが……。
「返事が来ない……」
既読はついているのに、一向に返事がない。
やっぱり、10秒に1回送らないと気づかないのだろうか。
いや、でもあの時みたいに怒られて、拗ねられて、連絡を完全無視されるよりは既読になる方がまだマシだと思うのが良いのだろうか。
約束の時間から、もう10分が過ぎようとしていた。
僕はしびれを切らし、オフィスまで迎えに行こうかと考えた。
その時
「加藤さん……!」
遠くの方から、ようやく聞きたかった声が聞こえた。
彼女……綾香が僕の方に向かって急いで走ってきてくれる姿が、とても可愛いと思ってしまったので
「遅い!」
と、緩みそうになる顔を必死に抑えながら、上司っぽく振る舞うので精一杯だった。
「どうして返事しなかったの?」
「だって……」
僕は、この回答を、何故この瞬間に聞いてしまったのかと後悔をした。
「LINEを送ってる暇があるなら……早く加藤さんのところに行きたいなと思ったので……」
こんな事を、可愛い彼女に言われて……我慢できる男がいるだろうか。
「…………反則…………」
もし、これが僕の家だったら、確実に服を脱がせて押し倒すところだった。
可能であれば、このタイミングでキスくらいはしたかったが、ここはロビーで、人通りが多かった。
「くそっ……」
僕は、綾香の手を握ると、今日のために選んだとっておきのランチの場所へと足早に連れ出した。
綾香が、僕の隣でくすくす笑っているのが、ほんの少し、憎らしかった。
遅すぎる。
約束した時間は、もう3分も過ぎている。
それなのに、彼女……高井綾香の姿は、待ち合わせ場所として僕が指定したロビーになかなか現れない。
……何か、あったのだろうか。
仕事に関するトラブルであれば、社用携帯にメールか電話がくるだろう。
実際さっきから、彼女以外のメンバーからは、トラブルの報告が山ほど、うざいくらいひっきりなしにくる。
本当は電源を切ってやりたいが、もし彼女からヘルプ要請があったら、すぐに駆けつけてやりたいので、バイブは鳴らしっぱなしにしている。
が、その彼女からの連絡は、一向にない。
まさか……変な虫でもついているのではないか。
以前彼女に話しかけた、チャラチャラした男どもは、まだいい。
ちょっと脅し仕事を与えてやれば大人しくなるから。
問題は彼女と同期入社の河西という忌々しい男。
あいつは、付き合ってもいないくせに彼女にプロポーズなんてしやがった。
あの頃は、僕も、彼女にただ片想いするだけの男だったから、あいつのプロポーズに嫉妬はしたものの、強引に引き剥がすということはできなかった。
でも。
今はもう、僕が彼女の恋人だ。
僕以外の男が、彼女に近づくなんて、絶対に許さない。
プライベート用のスマホを取り出して、彼女からの連絡がないか確認をする。
こちらにも、まだ来ていない。
彼女は、元々の性格のせいなのかはわからないが、僕への連絡をあまり頻繁に寄越してこない。
特にLINEに至っては、彼女から送ってくることは、ほとんどない。
1度、彼女からの連絡が欲しくてLINEを自分から送ることをしないようにしようとしていた時期もあったが、その後数日間本当にLINEでの彼女との会話がなくなった。
なのでその後、彼女を自宅に拉致し、ベッドの上で彼女を愛しながら、お仕置きをしたのだが、その時に言われたのが
「LINEを見る習慣がなくて」
だった。
というのも、彼女は乙女ゲームという……正直僕としては今すぐ取り上げてしまいたい、二次元の男どもと恋愛を楽しむというスマホゲームにハマっているらしく、僕といない時はたいていそれにのめり込んでいるから、LINEが来てもスルーすることが多い……ということらしかった。
彼氏として、正直いい気がしない。
まるで、二次元の男に負けていると、彼女から言われている気がした。
とはいえ、そのままにしておくわけがなく、僕は彼女に、ベッドの上でいじわるをしながら、ある約束を交わさせた。
僕が連絡をしたら、なんでもいいから返すこと。
まずは、そこから徹底して、彼女をLINEに慣れさせることから始める必要があると判断した。
「ったく……どこにいるんだ……」
僕は、スタンプを押し始める。
1分に1個なので、許容範囲だろう。
前10秒に1個送ったら
「うるさい」
と怒られたので、それからはさすがに自重したのだが……。
「返事が来ない……」
既読はついているのに、一向に返事がない。
やっぱり、10秒に1回送らないと気づかないのだろうか。
いや、でもあの時みたいに怒られて、拗ねられて、連絡を完全無視されるよりは既読になる方がまだマシだと思うのが良いのだろうか。
約束の時間から、もう10分が過ぎようとしていた。
僕はしびれを切らし、オフィスまで迎えに行こうかと考えた。
その時
「加藤さん……!」
遠くの方から、ようやく聞きたかった声が聞こえた。
彼女……綾香が僕の方に向かって急いで走ってきてくれる姿が、とても可愛いと思ってしまったので
「遅い!」
と、緩みそうになる顔を必死に抑えながら、上司っぽく振る舞うので精一杯だった。
「どうして返事しなかったの?」
「だって……」
僕は、この回答を、何故この瞬間に聞いてしまったのかと後悔をした。
「LINEを送ってる暇があるなら……早く加藤さんのところに行きたいなと思ったので……」
こんな事を、可愛い彼女に言われて……我慢できる男がいるだろうか。
「…………反則…………」
もし、これが僕の家だったら、確実に服を脱がせて押し倒すところだった。
可能であれば、このタイミングでキスくらいはしたかったが、ここはロビーで、人通りが多かった。
「くそっ……」
僕は、綾香の手を握ると、今日のために選んだとっておきのランチの場所へと足早に連れ出した。
綾香が、僕の隣でくすくす笑っているのが、ほんの少し、憎らしかった。