Extra Fight集 〜年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません〜
「え、ちょっと……綾香?」
「アラサーが、こんな耳なんかつけて恥ずかしいですよね。すみません調子に乗りました」
「あ、綾香?何言って」
「カップルで、この耳つけるのが夢だったので、ちょっとはしゃいじゃいました。すみません」
「だから、ちょっと待ってって!どうしてその結論になるの!」
「だって……加藤さんが何も言ってくれないから……」
「そんなの……可愛すぎて何て言っていいか分からなかったからに決まってるだろ!」
「……っ!?」

僕の言葉に、綾香は耳カチューシャについてるリボンと同じくらい、顔を真っ赤にした。

「こ、こんなところで何言って……」

狼狽えている綾香に、僕は綾香が先ほどまで持っていた耳カチューシャをつけてやった。
周囲を見渡せば、同じようなカチューシャをつけてる人間はたくさんいた。
でも、正直……この耳をつけている綾香が、1番可愛いと僕は思ってしまう。

「これ……欲しいの?」

僕が聞くと、綾香が顔を真っ赤にしながらこくりと頷いて

「ランドでは……カップルとか友達同士でくる人は……こういうのつける人が多いから……つい……」

カップルはつける。
その言葉を聞いて、買わないという選択肢を選ぶだろうか。
いや、ない。
そして、カップルで……ということは必然的に……。
< 43 / 58 >

この作品をシェア

pagetop