Extra Fight集 〜年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません〜
数日前……私は加藤さんから

「良い加減ランチの候補場所決めてくれない?

と、会社用メールだけでなく、プライベートスマホのLINEでも攻撃された。
ちなみにその時、絶賛乙女ゲームの良いシーンの音声を堪能している時。
急にぴこんって音がして、鼓膜どころか心臓まで破れるかと思った。

なので、正直ちょっとムカついてしまった。
というわけで腹いせに、適当に近所にある食べられそうな店のURLを上から順番に送りつけた……というのが真相。
確かに、オフィスの場所を考えると、高級店がちまちままじっていても、不思議ではない……が……!!!

「場所決まった時に、連絡くらいいただけませんかね……」

せめて前日……いや、当日の朝には連絡して欲しかった。
私は、今の自分の姿をため息つきながら眺め

「こんな格好でおしゃれな店、来たくなかったんですけど」

とぼやいた。
何が悲しくて、全身合わせて5000円以内で済ませた、超お手軽オフィスカジュアルなんかで、高級フレンチに来なくてはいけないのだ……。
そんな……一応乙女な心を知ってか知らずか

「そんなこと、気にしてんの」

と、自分は高級スーツ……それもオーダーメイドを着こなしている加藤さんは悪びれもなく言ってくる。

「気にしますよ。だってフレンチですよフレンチ!もし知ってたらせめて……」

ふと、この時加藤さんから以前貰った服のことを思い出した。
あの事件の日、三条ちゃんに貸したものは、ご丁寧にクリーニングされて戻って来た。
それからきっちり封されたまま、クローゼットの中に仕舞い込んでいたのだが……。

「加藤さんにもらったあの服着て来ても」
「却下」
「え!?」

い、今この人何て言った?
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