Extra Fight集 〜年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません〜
疑問が湧き上がったら、徹底的に追求する。
それが、加藤涼介という男。
私は、残念なことに、それを嫌と言うほど体感している。
嫌と言うほど。
「綾香」
「……はい」
「さっきのTシャツの件だけど」
「何でしょう……」
さっき、を強調してくる。
耳と帽子を買った時の話だろう。
とぼけるのは後が怖いので、大人しく聞くことにする。
「ここでは、カップルはお揃いのTシャツを着るのが普通なんじゃないの?」
「……っ!?」
「少なくとも、ここにいるカップル……Tシャツでペアルックっぽくなってる気がするんだけど」
くっ……痛いところを突きやがって……。
前カレに
「Tシャツおそろにしない?」
と私から誘い、私が彼氏の分まで支払った。
ランドデートというのはそういうものだと思っていたから。
でも結局、ごたごたがあり、ペアの格好をしているのが気まずいと思う瞬間が何度もあったので、私としては本当に懲りてしまったというのが真実。
「お互いすぐに脱げないのは辛いんですよねぇ」
耳は、嫌だと思ったらすぐに外せるし。
そう言おうと思った時、視線を感じて加藤さんの方を見ると、鬼の加藤が再び降臨していた。
この言い方がよくなかったのかもしれない。
後悔しても、もう遅い。
この男の前では。
「まるで、経験したかのような言い回しだね」
「いやーそのー……あ、加藤さん、この野菜美味しいです、食べましょ食べましょ」
美味しい、お高いコース料理を利用して話を誤魔化そうとしたが、そんな小手先、この男の前には通じない。
「ねえ綾香、知ってる?」
「……何をでしょう?」
「君、嘘つく時片手で耳たぶ触る癖あるんだよ」
「え、う、うそ!?」
「本当。可愛いから黙ってようかと思ったけど」
えー……そんな癖あったんだ……。
知らなかった。
誰も教えてくれなかったし。
加藤さんは、ここぞとばかりにどんどん攻めてくる。
好機を逃すな、と言う加藤さんの教えを、今別の意味で実感している。
「僕、君に何回嘘つかれたと思う?」
「そんなについてないはずですが!?」
「家に来られない理由が、実は同期との飲み会だったのに体調不良って言ったり」
くっ……!
こいつ……まだ根に持っていやがった……!
「ま、それに気づいてるのは僕だけだと思うけど」
他の人には嘘をつく理由もないし。
と、声にならないように慎重に心の中で毒づいた。
「はい」
「え」
「どうぞ」
「どうぞって、何ですか」
「全部話して」
「黙秘権希望します」
「何かあると自分で暴露してることだって気づいてる?」
「……うっ……」
そうして、私は高校時代の酸っぱさ9割の元カレとのランドデートについて、説明させられた。
どこに行ったとか、何をどこで食べたとか……細かいところまで、質問攻めにされてしまった。
結果、この高級コース料理の味をすっかり忘れてしまった。
Next Extra Fightに続きます疑問が湧き上がったら、徹底的に追求する。
それが、加藤涼介という男。
私は、残念なことに、それを嫌と言うほど体感している。
嫌と言うほど。
「綾香」
「……はい」
「さっきのTシャツの件だけど」
「何でしょう……」
さっき、を強調してくる。
耳と帽子を買った時の話だろう。
とぼけるのは後が怖いので、大人しく聞くことにする。
「ここでは、カップルはお揃いのTシャツを着るのが普通なんじゃないの?」
「……っ!?」
「少なくとも、ここにいるカップル……Tシャツでペアルックっぽくなってる気がするんだけど」
くっ……痛いところを突きやがって……。
前カレ
「Tシャツおそろにしない?」
と私から誘い、私が彼氏の分まで支払った。
ランドデートというのはそういうものだと思っていたから。
でも結局、ごたごたがあり、ペアの格好をしているのが気まずいと思う瞬間が何度もあったので、私としては本当に懲りてしまったというのが真実。
「お互いすぐに脱げないのは辛いんですよねぇ」
耳は、嫌だと思ったらすぐに外せるし。
そう言おうと思った時、視線を感じて加藤さんの方を見ると、鬼の加藤が再び降臨していた。
この言い方がよくなかったのかもしれない。
後悔しても、もう遅い。
この男の前では。
「まるで、経験したかのような言い回しだね」
「いやーそのー……あ、加藤さん、この野菜美味しいです、食べましょ食べましょ」
美味しい、お高いコース料理を利用して話を誤魔化そうとしたが、そんな小手先、この男の前には通じない。
「ねえ綾香、知ってる?」
「……何をでしょう?」
「君、嘘つく時片手で耳たぶ触る癖あるんだよ」
「え、う、うそ!?」
「本当。可愛いから黙ってようかと思ったけど」
えー……そんな癖あったんだ……。
知らなかった。
誰も教えてくれなかったし。
加藤さんは、ここぞとばかりにどんどん攻めてくる。
好機を逃すな、と言う加藤さんの教えを、今別の意味で実感している。
「僕、君に何回嘘つかれたと思う?」
「そんなについてないはずですが!?」
「家に来られない理由が、実は同期との飲み会だったのに体調不良って言ったり」
くっ……!
こいつ……まだ根に持っていやがった……!
「ま、それに気づいてるのは僕だけだと思うけど」
他の人には嘘をつく理由もないし。
と、声にならないように慎重に心の中で毒づいた。
「はい」
「え」
「どうぞ」
「どうぞって、何ですか」
「全部話して」
「黙秘権希望します」
「何かあると自分で暴露してることだって気づいてる?」
「……うっ……」
そうして、私は高校時代の酸っぱさ9割の元カレとのランドデートについて、説明させられた。
どこに行ったとか、何をどこで食べたとか……細かいところまで、質問攻めにされてしまった。
結果、この高級コース料理の味をすっかり忘れてしまった。
Next Extra Fightに続きます
それが、加藤涼介という男。
私は、残念なことに、それを嫌と言うほど体感している。
嫌と言うほど。
「綾香」
「……はい」
「さっきのTシャツの件だけど」
「何でしょう……」
さっき、を強調してくる。
耳と帽子を買った時の話だろう。
とぼけるのは後が怖いので、大人しく聞くことにする。
「ここでは、カップルはお揃いのTシャツを着るのが普通なんじゃないの?」
「……っ!?」
「少なくとも、ここにいるカップル……Tシャツでペアルックっぽくなってる気がするんだけど」
くっ……痛いところを突きやがって……。
前カレに
「Tシャツおそろにしない?」
と私から誘い、私が彼氏の分まで支払った。
ランドデートというのはそういうものだと思っていたから。
でも結局、ごたごたがあり、ペアの格好をしているのが気まずいと思う瞬間が何度もあったので、私としては本当に懲りてしまったというのが真実。
「お互いすぐに脱げないのは辛いんですよねぇ」
耳は、嫌だと思ったらすぐに外せるし。
そう言おうと思った時、視線を感じて加藤さんの方を見ると、鬼の加藤が再び降臨していた。
この言い方がよくなかったのかもしれない。
後悔しても、もう遅い。
この男の前では。
「まるで、経験したかのような言い回しだね」
「いやーそのー……あ、加藤さん、この野菜美味しいです、食べましょ食べましょ」
美味しい、お高いコース料理を利用して話を誤魔化そうとしたが、そんな小手先、この男の前には通じない。
「ねえ綾香、知ってる?」
「……何をでしょう?」
「君、嘘つく時片手で耳たぶ触る癖あるんだよ」
「え、う、うそ!?」
「本当。可愛いから黙ってようかと思ったけど」
えー……そんな癖あったんだ……。
知らなかった。
誰も教えてくれなかったし。
加藤さんは、ここぞとばかりにどんどん攻めてくる。
好機を逃すな、と言う加藤さんの教えを、今別の意味で実感している。
「僕、君に何回嘘つかれたと思う?」
「そんなについてないはずですが!?」
「家に来られない理由が、実は同期との飲み会だったのに体調不良って言ったり」
くっ……!
こいつ……まだ根に持っていやがった……!
「ま、それに気づいてるのは僕だけだと思うけど」
他の人には嘘をつく理由もないし。
と、声にならないように慎重に心の中で毒づいた。
「はい」
「え」
「どうぞ」
「どうぞって、何ですか」
「全部話して」
「黙秘権希望します」
「何かあると自分で暴露してることだって気づいてる?」
「……うっ……」
そうして、私は高校時代の酸っぱさ9割の元カレとのランドデートについて、説明させられた。
どこに行ったとか、何をどこで食べたとか……細かいところまで、質問攻めにされてしまった。
結果、この高級コース料理の味をすっかり忘れてしまった。
Next Extra Fightに続きます疑問が湧き上がったら、徹底的に追求する。
それが、加藤涼介という男。
私は、残念なことに、それを嫌と言うほど体感している。
嫌と言うほど。
「綾香」
「……はい」
「さっきのTシャツの件だけど」
「何でしょう……」
さっき、を強調してくる。
耳と帽子を買った時の話だろう。
とぼけるのは後が怖いので、大人しく聞くことにする。
「ここでは、カップルはお揃いのTシャツを着るのが普通なんじゃないの?」
「……っ!?」
「少なくとも、ここにいるカップル……Tシャツでペアルックっぽくなってる気がするんだけど」
くっ……痛いところを突きやがって……。
前カレ
「Tシャツおそろにしない?」
と私から誘い、私が彼氏の分まで支払った。
ランドデートというのはそういうものだと思っていたから。
でも結局、ごたごたがあり、ペアの格好をしているのが気まずいと思う瞬間が何度もあったので、私としては本当に懲りてしまったというのが真実。
「お互いすぐに脱げないのは辛いんですよねぇ」
耳は、嫌だと思ったらすぐに外せるし。
そう言おうと思った時、視線を感じて加藤さんの方を見ると、鬼の加藤が再び降臨していた。
この言い方がよくなかったのかもしれない。
後悔しても、もう遅い。
この男の前では。
「まるで、経験したかのような言い回しだね」
「いやーそのー……あ、加藤さん、この野菜美味しいです、食べましょ食べましょ」
美味しい、お高いコース料理を利用して話を誤魔化そうとしたが、そんな小手先、この男の前には通じない。
「ねえ綾香、知ってる?」
「……何をでしょう?」
「君、嘘つく時片手で耳たぶ触る癖あるんだよ」
「え、う、うそ!?」
「本当。可愛いから黙ってようかと思ったけど」
えー……そんな癖あったんだ……。
知らなかった。
誰も教えてくれなかったし。
加藤さんは、ここぞとばかりにどんどん攻めてくる。
好機を逃すな、と言う加藤さんの教えを、今別の意味で実感している。
「僕、君に何回嘘つかれたと思う?」
「そんなについてないはずですが!?」
「家に来られない理由が、実は同期との飲み会だったのに体調不良って言ったり」
くっ……!
こいつ……まだ根に持っていやがった……!
「ま、それに気づいてるのは僕だけだと思うけど」
他の人には嘘をつく理由もないし。
と、声にならないように慎重に心の中で毒づいた。
「はい」
「え」
「どうぞ」
「どうぞって、何ですか」
「全部話して」
「黙秘権希望します」
「何かあると自分で暴露してることだって気づいてる?」
「……うっ……」
そうして、私は高校時代の酸っぱさ9割の元カレとのランドデートについて、説明させられた。
どこに行ったとか、何をどこで食べたとか……細かいところまで、質問攻めにされてしまった。
結果、この高級コース料理の味をすっかり忘れてしまった。
Next Extra Fightに続きます