Extra Fight集 〜年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません〜
Extra Fight11 テーマパークで想いが爆発する の巻 Side加藤
高井綾香に元カレがいた。
その事実は、僕が思っていたよりもずっと、僕を動揺させた。
あのレストランで、綾香を詰めに詰めた結果、綾香からいくつか情報を引っ張り出すことができた。

高校時代、綾香に告白してきた男と一時的に付き合ったこと。
その男と、Tシャツを着るペアルックもしたとのこと。
お小遣いがあんまりなかったから、ランドで売られてるファーストフードを2人で分け合いながら食べたこと。
アトラクションの趣味が合わなかったこと。
そして……待ち時間に、喧嘩をして、そのままお別れをしたこと。

大したことがなかった……といえばそれまで。
だけど僕は、どうしても許せなかった。
綾香が、ランドに来る度に、その男のことばかり思い出してしまうことを。

「行くよ」
「えっ、ちょっと……加藤さん!?」

僕は、コース料理の支払いをもちろん全額しっかり支払った後、綾香の手をしっかり掴んだ。

「加藤さん!どこに行くんですか!?」
「黙って」

綾香を連れて行ったのは、すぐ近くにあった店。
たくさんのTシャツが陳列されている。

「か、加藤さん?」
「選んで」
「え」
「いいから、選んで」

戸惑った様子の綾香だったが、僕には考えがあった。
例え、その元カレとの思い出がどんなに些細なものだったとしても。
綾香の中からそいつとの思い出を全て塗り替えてしまえばいい。
そうすれば、ランドに来る度に綾香は僕の事だけを思い出すようになるはずだ。
< 55 / 58 >

この作品をシェア

pagetop