Extra Fight集 〜年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません〜
それから、綾香にTシャツを着替えさせ、ついでに僕も着替えた。
始め、綾香は物凄く心配そうに

「ほ、ほんとに良いんですか?」

などと何度も繰り返して聞いてきたのが気になった。

「綾香は、僕とペアルックは嫌なの?」

僕が恐る恐る聞いてみると、綾香は勢いよく首を横に振って

「恥ずかしいけど……でも……嬉しい」

と答えてくれたのがとても可愛かった。
人前じゃなければ、思いっきり抱き寄せてキスの1つでもしてやりたかった。
でもそれは、この後のお楽しみに取っておくことにした。

「それで?」
「……加藤さん……?」
「次は、どこに行けばいい?」
「……ええと……」

綾香が、スマホを出して、アプリを確認し始めた。

「確か、新しいアトラクションの時間までは、まだ時間があるから……」
「違う」
「え?」
「そうじゃない」
「そうじゃないって……」

僕の意図が伝わらないのが、本当にもどかしい。
でも、彼女にはちゃんと言葉にしないと伝わらない事を、僕は痛いほど実感している。
だから僕は、ほんの少しあった羞恥心をかなぐり捨ててこう言った。

「元カレと行った場所、全部行くから」
「……はい?」
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