Extra Fight集 〜年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません〜
「それに」

まだ何かあるのか!?

「もし君が、あの服着て会社にでも来たら……あいつに見られる」
「……あいつ……?」
「……河西……」
「え」

加藤さんは、あの河西君のなんちゃってプロポーズ以降、ものすごく敵視している。
もちろん、仕事上では加藤さんの方が上司の立場になるし、仕事をする上でどうしてもコミュニケーションを取らないといけない時は、普通に会話できる。
それなのに……。

「河西が、あの服着た綾香見たら、絶対またあいつ綾香口説きにくる」
「まさか〜ないない」

河西君がプロポーズをしたのも、別に恋愛感情からではない。
そう、本人は断言していた。
だから……万が一加藤さんからもらった服を着た私が……ほんの少し可愛くなれたとしても、だ。
河西君がそんなことでいちいち絡んでくるとも思えない。
私は、そのことを何度も説明をしたのだが。

「あいつは君を狙ってる」

と断言する。
仕事では冷静に情報を集めてジャッジを下すというのに、どうしてか、河西君に対しては頑固に意見を譲ろうとしない。
それどころか

「河西だけでも厄介なのに、あの服を着た綾香に惚れる男がこれ以上増えるのは許さない」

と2つ目の爆弾を投げ込んだ。
いや、可愛いとかありえないし。
そのそも何度も可愛いとか、言わないで欲しい。
まして綾香呼びも……。
などなど、言いたいことがなかなかまとまらず、私が無言状態になっていた時のこと。

「お飲み物はいかがですか?」

と、気まずそ〜に仕事を全うしようと会話に割って入った、ギャルソンさんから飲み物のメニューを貰った。
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