一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
十年前のクリスマス
彼と付き合ってそろそろ一年が経過しようとしていた。
寒い冬の日、ふたりで都内のクリスマスイルミネーションを見に行ったその帰り道。突然降り始めた雪に追い立てられるようにして、彼が予約してくれていたホテルに駆け込んだ。
「あー、寒かったあ」
頭にも肩にもこんもりと積もった雪を払いながら、急いで部屋の暖房を付けようとリモコンを探す。だけど私が見つけ出すよりも早く、彼が入口近くの壁にあるパネルを操作していた。
「いきなり降るとは思わなかったな。ほとんど吹雪じゃないか」
「ね、本当にびっくりした。とんだクリスマスになっちゃったね」
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