一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 深冬とは違ったタイプのイケメンだ。彼が名前の通り冬を思わせる男性だとしたら、目の前のこの人は一気に花が咲き乱れる春を感じさせる。花束でも持たせたら似合いそうだ。

 背も深冬と同じくらい高い。海外のお客様と接する機会が多いため、長身には慣れているつもりだったが日本人は別である。私も平均より高めの百六十五センチの私が見上げる身長の人はなかなかいない。

 さらに私はつい彼の服もチェックしてしまった。

 シャツとズボンという非常にラフな普段着だが、胸もとのロゴマークは一流ブランドのものだ。腕につけた時計も数百万単位のものだったはずである。

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