一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 そんなふうに感じさせないのは彼の立ち居振る舞いがあまりにも自然すぎるからか。

 少なくともアモラリアのコンシェルジュデスクにコンビニにでも立ち寄るような気軽さで現れ、声をかける人はそういない。

「私にお話のお相手が務まるかどうかはわかりませんが……。もしよろしければ当ホテルのご案内をいたしましょうか?」

 ときどきいるのだ、ナンパ目的で話しかけてくるような人が。

 だが、そういった時にうまく対応する方法なら城木さんに教えてもらっている。

「ホテルより君のことが知りたいって言ったら?」

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