一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「正直、ちょっとどきどきしてたでしょ。私も智秋と結婚する時、そうだったもの」

「俺がどうしたって?」

 智秋さんがにこにこして私たちの会話に入ろうとするが、咲良さんは顔をしかめる。

「今は女の子同士で話してるの。智秋は深冬さんと喋ってて」

「こっちに押し付けないでくれ」

 げんなりした深冬の言い方に笑うと、智秋さんが苦笑して肩をすくめた。

 本当に楽しい人たちだ。

 彼らの一員として認められてうれしいが、喜ぶわけにはいかない。半年で彼との結婚生活が終わるのだから、これが最初で最後の顔合わせになる可能性が高いのだ。

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