一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「仕事中結ぶことになるだろう。他の奴にお前のここを見せたくない」

 独占欲を滲ませた声が濡れた肌をくすぐった後、吐息が落ちたうなじを甘噛みされる。

「だめ、深冬……。私、変な気分になっちゃうから……」

「……誘っているんじゃないだろうな」

 首を左右に振ると、今度は肩に歯を立てられた。

 このまま身体中に彼の痕を付けられるのかと思っただけで眩暈がする。

「そんなつもりで一緒にお風呂に入ったんじゃないよ」

「俺だってそうだ。キスより先はお前が嫌がるから」

「じゃあ……」

「早く諦めろ。お前は俺にしか恋できないんだ。俺がお前しか愛せないのと同じように」

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