一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 永遠の愛を信じられない私に、深冬は欲しい言葉を刻んだ。

 どうするのが私の正解なのかいよいよわからなくなる。

 小難しいことを考えずに踏み出していた十九歳の頃のように、彼に寄り添っていいのだろうか。

 そうしたいと思う気持ちは以前よりもずっと強くなっていた。



 翌朝、早く目を覚ました私は布団を抜け出して、部屋の窓から庭園を見ていた。

 深冬との結婚生活は罪深いほど幸せだ。

 自分が傷付きたくないがために彼を拒んで別れようとしているのに、あの優しく激しいキスを欲してしまう。

 本当はたぶん、私の中で答えなんて最初から決まっていた。

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