一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 深冬は繋いだ私の手をシーツに縫い留めると、先ほどよりももっと甘く激しいキスの雨を降らせた。

 誰にも触れられたことのないところも彼の唇と指が暴き、私に未知の快感と幸せを刻んでいく。

 恥ずかしいことはしないでほしいとねだっても今日の深冬はとても意地悪で、むしろ嬉々として私の意に反する行為ばかり繰り返した。

 愛されながらも心にあったのは、彼に応えなければという強迫観念にも似た焦り。

 両親は恋人ができたと告げた私に奇跡が起きたと笑った。いつまで続くかわからないから今のうちに恋愛をしておけ、とも。

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