一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
依存
その夜仕事を終えた私は、あの後智秋さんから渡されたメモを頼りに会員制のバーへ足を運んだ。
「あ、来た来た。よかったよ、わかりづらい場所にあるからさ」
案内された個室は六人掛けの席で、ふたりで使うには広い。
「遅くなってすみません」
「気にしないで。俺もさっき来たところ」
それはたぶん嘘だろうなと思った。
智秋さんはすっかりくつろいだ様子だし、テーブルには飲みかけのグラスがある。
「さ、そこ座って。なにか飲む? ここ、オリジナルカクテルがおいしいんだ」
「あ……じゃあそれをお願いします」
「俺もなにかお代わりを頼もうかな」