一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
しかし話を進める前に彼の方から『仕事中だったね』と引いたのだ。
おかげで今日一日、私は智秋さんがなにを話したくて現れたのかずっと考えていた。
「ああ、うん。面倒だから先に言うけど、深冬と別れてくれる?」
カクテルグラスをテーブルに置いた手が、その形のまま止まった。
「今、なんて……」
「いろいろと考えた結果、君は深冬のためにならないと思ったからかな」
目の前にいるのは愛想のいい笑みを浮かべた義兄で、最初に話した時とまったく印象が変わらない。
なにかと深冬にちょっかいをかけては嫌な顔をされる過保護なお兄さんだと思っていたのに、どうして彼から離婚を迫られるのだろう。
おかげで今日一日、私は智秋さんがなにを話したくて現れたのかずっと考えていた。
「ああ、うん。面倒だから先に言うけど、深冬と別れてくれる?」
カクテルグラスをテーブルに置いた手が、その形のまま止まった。
「今、なんて……」
「いろいろと考えた結果、君は深冬のためにならないと思ったからかな」
目の前にいるのは愛想のいい笑みを浮かべた義兄で、最初に話した時とまったく印象が変わらない。
なにかと深冬にちょっかいをかけては嫌な顔をされる過保護なお兄さんだと思っていたのに、どうして彼から離婚を迫られるのだろう。