一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
智秋さんは深冬が私を守って怪我を負った件を怒っているのだと唐突に気付いた。
ただ、私に対してというよりはそんな選択をした深冬に苛立ちを覚えているように感じる。
「君の代わりはいても、深冬の代わりはいない。俺にとってはね」
「言っている意味はわかりますが、だからといって話が飛躍しすぎです。深冬のいないところでする話だとも思えません」
「いたら絶対反対するじゃないか。俺と口をきいてくれなくなるだろうし」
喉がカラカラになって、テーブルに置いたグラスを口もとに引き寄せた。
「杏香ちゃんは深冬に聞いてるのかな。俺たち兄弟が昔、誘拐された話」
「誘拐……? いえ、そんな話は一度も」
ただ、私に対してというよりはそんな選択をした深冬に苛立ちを覚えているように感じる。
「君の代わりはいても、深冬の代わりはいない。俺にとってはね」
「言っている意味はわかりますが、だからといって話が飛躍しすぎです。深冬のいないところでする話だとも思えません」
「いたら絶対反対するじゃないか。俺と口をきいてくれなくなるだろうし」
喉がカラカラになって、テーブルに置いたグラスを口もとに引き寄せた。
「杏香ちゃんは深冬に聞いてるのかな。俺たち兄弟が昔、誘拐された話」
「誘拐……? いえ、そんな話は一度も」