一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
求めていた朝
クリスマス、そして大晦日と大きなイベントをふたりで過ごし、新しい年も深冬の腕の中で迎えた。
私たちの仕事は長期の休みにこそ忙しいのもあって、ようやく身辺が落ち着いたのはもう二月に入る頃だった。
「もう好きなように動かしても問題ないそうだ」
仕事帰りに病院へ立ち寄った深冬が私に向かって左腕を軽く振る。
私を庇ってできた傷は、もうずいぶん小さくなっていた。さすがに痕は残ってしまったが、彼は私を守った証だと喜んでいる節がある。
安静にしなければならないと医者に言われ、キスとささやかな触れ合いだけで耐えてきたこの一か月。
今夜、きっと深冬は私を求めるだろう。