一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「はい、こちらこそ改めてよろしくお願いします。また城木さんと働けてうれしいです」

『そういうことを言われると昼ご飯を奢りたくなっちゃうんだよなぁ』

 笑い声を残し、城木さんは出社準備をするために電話を切った。

 ついさっきまで寂寥感に苛まれていた心はすっかり晴れて余裕が生まれる。

 頑張ろうと誰に向けるわけでもなくつぶやき、私も出社に向けて身支度を整え始めた。

 

 記念すべき初出社を迎えた私を城木さんは大喜びで出迎え、スタッフルームにて親切丁寧に説明をしてくれた。

「ああ、この感じすごく懐かしい! 阿澄さんが引き抜かれてくれて本当によかったよ」

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