一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「あー、そうだけどそうじゃないんだよ。ちょっと要望の多い方の予約が入っていてね。ある意味、僕らの腕の見せ所かもしれないが」

「じゃあその時までには、今以上にアモラリアやこの周辺のことをしっかり覚えておきます」

「うん、頼もしいよ。今日から頑張ろうね」

 自分の仕事に向かった城木さんを見送り、オリエンテーションで教えられた内容のメモを再度確認する。

 ホテルに宿泊するお客様は千差万別だ。ホテルそのものを楽しみにする方もいれば、旅行での睡眠場所としてしか活用しない方もいる。

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