一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 少しだけ笑った彼が慣れた様子でルームサービスのメニューを手に取った。

「さっき夕飯食べたばっかりだけど。もしお腹が空いてるなら頼めばいい」

「……あなたって私にすぐなにか食べさせようとするよね。そんなにいろいろ食べさせたら太っちゃうよ。お嫁に行けなくなったらどうするの」

「心配する必要あるか? もう嫁ぎ先は決まってるだろ」

 ベッドに座った私の隣に深冬が座る。ぎしりと軋む音が聞こえて自然と鼓動が跳ねた。

「みふ――」

 名前を呼ぶ前に彼が私の肩に頭をのせた。いつの間にか腰を抱かれており、逃げられなくなっていることに気付く。

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