一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
もう少し渋られるかと思っていたから、すんなり承諾されて拍子抜けした。
事態を早く収束したいだろうし、私とこれ以上こじれても困ると判断したのだろうか。
「朝一で婚姻届を取りに行く。明日からは橘杏香だな」
ネットニュースや問題の出版社への対応で忙しくなるだろうに、彼はどことなくうれしそうだった。
たった半年とはいえ、私を手に入れたからだというのはわかっている。
その半年で私は彼を拒みきらねばならない。
深いところまで受け入れたら最後、今度こそ私は深冬なしの人生を送れなくなるのだから。