一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
不安
再会をきっかけにかつての別れが誤解だったとわかったのはいい。でもそれからが大変だった。
まず契約結婚をすると決めた翌朝、深冬は私が出社している間に役所へ向かった。
婚姻届は休憩時間に記入し、ちょうど同じタイミングでコーヒーを飲んでいた城木さんに証人を頼んだのだが、当然彼は目を白黒させていた。
すぐに笑みを浮かべて『おめでとう』と言ったのは、私と深冬の関係について事前に聞いていたからだろう。実際は彼が思うほどおめでたくはないのだが、それは言わないでおいた。