お嬢様の憂鬱【上】
「おれを信じろ。」
そういうと、男はもっときつくあたしを抱き締めた
今のあたしには、この名前の知らない男の体温があたたかすぎた
もう少し、こうなっていたいと思ったが
頭の重さには勝てない
ふるえとなみだはなんとかなったが
体調の悪さだけはどうにもならなかった
るなは、一瞬微笑むと
コテッ
っと、意識を失い
男によさりかかる体制になった
「・・・怖い・・・」
と、あたしは寝言のように言った
男の顔が、とても悲しそうな顔になっていたのは
誰も知らない