お嬢様の憂鬱【上】
「そうだ、君は一ノ瀬るなと言う名前だ。るなちゃんは、交通事故にあって
頭の中の記憶をなくしてしまったんだよ」
おじいさんはなおも話を続ける
「この女の人はあなたのお母さんだよ。るなちゃんが事故にあってからずっとそばにいてくれたんだよ」
と言った
わたしは女の人の方をちらっと見た
すると
「るな…本当にわたしのこと覚えてない…?」
と聞いてきたが
わたしは
「…………うん」
としか答えられなかった