片恋
片耳から始まる恋
顔が熱い。
体も、なんかだるい。

雨に降られて、案の定、具合が悪くなった翌日のこと。

休みたかったし、伊月くんに対しての気まずさもあったけれど、私は学校に来ていた。

顔を見るのはしんどいけど、席替えをしたばかりだし、しばらく隣の席にいると思うと、早めにちゃんと謝っておきたいし……。


いくら普段から気になっていたからって、断りもなく勝手に人のものを使った私が悪い。

幸い、この風邪は咳もくしゃみもなくて、発熱だけ。

人にうつす心配はなさそう。


深呼吸をして、教室の扉に手をかけた。
< 10 / 412 >

この作品をシェア

pagetop