片恋
ナデシコと伊月くんのことは、黙っていて欲しい。

でもそのために、口止め料として、彼女になることになる。

それだけは、何としてでも避けたい。


話、聞いてもらえるかな……。


自分の席へ行き、椅子を引く。

ギィッと、椅子の脚が床をこする音で、延藤くんは顔を上げた。


「あれ、真桜ちゃんおかえり。伊月と一緒にサボり? ひどいなー、俺がいるのに」

「え、延藤くんと私は、何でもないでしょ……」


声が震える。

情けない。
< 118 / 412 >

この作品をシェア

pagetop