片恋
「それに、俺、真桜ちゃんのことが好きだからさ。やり方が卑怯で、悪かったけど」

「嘘」

「いやいや、嘘じゃないって。俺の告白、なかったことにしてんの? ひどいなー」

「嘘だよ。延藤くん、私のこと好きなわけじゃないでしょ」


隣にいるから、分かる。

延藤くんは、私のことを見てなんていない。


「延藤くんが気にしてるのは、伊月くんだよね?」


伊月くんの名前を出すと、延藤くんはとたんに笑顔を消して、唇を結んだ。
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