片恋
伊月くん、メロンパン好きなんだ。

ティッシュだって持ち歩いてるし、案外女子力が高い。


ずっと一緒にいて、色々知ったつもりでいたけど、まだまだ知らない顔があるんだ。


「いただきます……」


ひと口かじると、反動で表面の砂糖がパラパラと地面に落ちる。


「甘い……」


すっごく、甘い。


また涙が出そうになる。

この時間が、ずっと終わらなければいいのに。
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