片恋

店員さんに部屋に案内されて、薄暗いパーティールームへ入る。

こんな広い部屋、初めて。

カラオケ自体あまり行かないし、行っても少人数で友達と入るくらいだから、今までは小さめの部屋にしか入ったことがなかった。

1、2、3、4……。

心の中で、人数を数える。

8人もいる。

それは、これくらい広いスペースがないと入れないよね。


「あの子ってさ……、蕪木さん。コウが誘ったの?」

「そうなんじゃない? 彼女だし。邪魔だよね」

「コウの彼女ってだけで、ウザいのに。普通、ついてくる?」


ヒソヒソ話にしたつもりなのだろうけど、女子の会話はばっちり聞こえている。


場違いだってことは、私が一番分かってるんだけどな……。

気まずい。
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