片恋
「うまーい! やっぱり、これはコウだよね!」

「ねえねえ、次はこれっ。その次はね~」


パチパチと盛大な拍手を贈られる延藤くんを見て、ハッと我に返る。


あ、歌、終わってたんだ。

すっかり世界に入り込んでしまっていた。


「待って、待って。休憩。もっとみんなも歌いなよ」


軽く拒絶をしながら、延藤くんはマイクを近くの女子に渡す。

それを見ながら、私はそっと部屋を抜け出した。
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