片恋

同時にお店を出たからといって、一緒に帰る必要はないのでは?

それに気づいたのは、五分ほど隣を歩いてからだった。


カラオケが好きじゃないと発言してから、延藤くんはあからさまに元気がない。

なんだろう……。


「延藤くん、すごく歌上手いんだね。びっくりした」

「ん? あんなの、大したことないでしょ。俺レベルなんか、いっぱいいるし」

「そんなことないよ。聴き入っちゃったもん」

「はは。伊月の歌声に慣れてる真桜ちゃんには、聴かせたくなかったけどね」

「どうして?」


なんでそこで、伊月くんが出てくるんだろう。
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