片恋
伊月くんには、私と延藤くんの様子が、どう見えていたんだろう。


私は常に嫌がりながら接していたはずなのに、どこが楽しそうになんて見えたんだろう。


今さらになって、追いかけていればと後悔する。

もうとっくに、電車に乗っちゃったよね。

私のバカ……。


うつむきながら、無意識にため息を連発していたらしい。


「……あー、もう、しょうがないな」


と、延藤くんは、立ち上がって私の手を取る。


「えっ……!? なに……」

「行くよ、真桜ちゃん」
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