片恋
そのひと言で、心がスッと軽くなる。


今井先生は伊月くんのお姉さんだから、当然ナデシコの事情も知っている。

こんなに強い味方は、きっといない。


「実は……、延藤くんは、ナデシコが伊月くんだって、知ってるんです」

「…………、……えっ!?」


少しの沈黙の後、今井先生がお腹の底から出したような声を上げた。


「う、うそ!? 蓮、蕪木さん以外にも話してるの!?」

「あ、いえ、延藤くんは自力で気づいちゃったみたいで……」

「自力で!? あんなに今の声と違うのに!?」


今井先生が驚くのも、当然。

私だって、すごくびっくりした。

そして、自力で気づいたことに、嫉妬心すら覚えたくらい。
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