片恋
痛いところを突かれて、胸がぎゅっと縮む。


「蕪木さんの話を聞いてると、延藤くんとのことは、もうクラスの公認みたいになっちゃってるよね。延藤くんと別れて、その後すぐに蓮のところに行って、……蕪木さんは大丈夫なの?」

「っ、……わかんないです」


かすれた声で首を振ると、今井先生はそっと頭を撫でてくれた。

今井先生が心配してくれているのは、その後の私の、クラスでの身の振りのこと。


延藤くんと付き合い始めた頃、成美ちゃん以外のほとんどの女子が敵に回った。

別れて、また伊月くんのそばに行ったとして、……今度はきっと、もっとひどいことになる。


「蕪木さん、本当に蓮には言わなくていいの?」


念を押すように、今井先生はもう一度優しい声で聞いてくれた。

その声は、昔の伊月くんに言われているようで、涙がこぼれた。


「はい……」
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